イザナミノミコトは、イザナギノミコトとともに国を生むとともに、アマテラスオオミカミやスサノオノミコトなど、八百万の神を生み神々の母と称されています。イザナミノミコトは、火の神カグツチノミコトを生んだことで身体に大火傷を負い、そのまま亡くなってしまいます。イザナギノミコトは最愛の妻の死を嘆き悲しみ、その亡骸を熊野の有馬村(現在の熊野市有馬町)に葬ったとされており、世界遺産花の窟がイザナミノミコトの御陵であると伝えられています。
1400年前に編纂された日本書紀には、有馬村の村人が季節の花を捧げ、歌い舞うことでイザナミノミコトの御魂を鎮めていたと記載されており、その伝承が毎年2月2日と10月2日に世界遺産花の窟で行われる「お綱かけ神事」として今もなお残されています。
「お綱かけ神事」とは、日本一長いといわれる約170mの大綱を、ご神体である高さ45mの巨岩の頂上から七里御浜まで引いた後、境内にめぐらし、五穀豊穣を祈願する神事です。
大綱には、三旒の幡形と、種々の季節の花や扇子等を結びつけたものが吊るされています。